「タブレットという枠組みを、またしてもAppleが自ら破壊した」 2025年秋、iPad Pro (M5) を手にした瞬間、私はそう確信しました。
前モデルのM4搭載iPad Proは、その圧倒的な薄さとタンデムOLEDによる映像美で、モバイルデバイスの到達点に達したかのように思われました。「これ以上の進化はどこに向かうのか?」——多くのファンやプロユーザーが抱いたその疑問に対し、Appleが用意していた答えは、数字上のスペックアップを遥かに超える「AIとの完全なる融合」でした。
今、私たちが生きているのは、生成AIやAIアシスタントが単なるツールではなく、クリエイティブやビジネスのパートナーとなった時代です。iPad Pro (M5) は、その中核を担うべく設計されています。新開発のM5チップは、単にアプリを速く動かすためだけのものではなく、私たちが思考し、創造するプロセスそのものをAIによって加速させるために誕生しました。
また、ハードウェア面でも「プロの道具」としてのプライドが見られます。これまでiPadの弱点とされてきた外部拡張性や、マルチタスク時のメモリ不足といった課題に対し、M5モデルは明確なソリューションを提示しています。もはや「iPadだからできない」という言い訳は通用しません。
本記事では、ガジェットブロガーとして数々のデバイスをレビューしてきた私が、この「M5」という怪物が私たちのライフスタイルをどう塗り替えるのか、そしてM4から何が本当に変わったのかを、忖度なしで徹底的に深掘りしていきます。
iPad Pro (M5) とは?

出典:Apple
iPad Pro (M5) は、Appleが「ポストPC」時代の完成形として世に送り出した、同社タブレットラインナップの最高峰モデルです。
これまでのiPad Proは「薄さ」や「ディスプレイの美しさ」に焦点が当てられることが多かったですが、このM5モデルが象徴するのは「AI処理能力の圧倒的優位性」と「ワークステーションとしての自立」です。
M5チップ:タブレットの常識を塗り替える心臓部
最大の核心は、3ナノメートルプロセス(第3世代)で製造される次世代チップ「M5」の搭載です。単なるクロック周波数の向上だけでなく、内部アーキテクチャがAI(人工知能)の処理に最適化されています。 特に新設計の「Neural Accelerator(ニューラル・アクセラレーター)」は、生成AIのローカル実行を前提に設計されており、クラウドに頼らず手元で複雑な推論や画像生成を行うための「脳」として機能します。
「プロ」の定義の再定義
Appleにとっての「Pro」とは、単に高価なモデルという意味ではありません。「プロの仕事道具として、PC(Mac)の代わりではなく、PCを超える体験を提供できるか」という問いへの答えが、このM5モデルには凝縮されています。 従来の8GBメモリを廃止し、標準で12GB、上位モデルでは16GBという広大なメモリ(RAM)を搭載したことは、iPadOSが抱えていた「バックグラウンドでのアプリ落ち」や「重いデータの読み込み制限」という限界を打破しようとするAppleの本気の表れです。
究極の「板」としての完成度
また、M4モデルで導入された「タンデムOLED(2層重ねの有機EL)」によるUltra Retina XDRディスプレイを継続採用しつつ、M5チップの新しいディスプレイエンジンにより、電力効率と色の再現性がさらにブラッシュアップされました。
要するに、iPad Pro (M5) とは「MacBook Proに匹敵するパワーを、5mm強の極薄の筐体に詰め込み、AIという魔法の杖を持たせた、未来のクリエイティブ・ワークステーション」であると言えます。
iPad Pro (M5) の外観とデザイン

出典:Apple
iPad Pro (M5) を箱から取り出し、手に持った瞬間に感じるのは、もはやデバイスというよりは「精密に磨き上げられた一枚の工芸品」のような手触りです。M4モデルで確立された衝撃的な薄さを継承しつつ、細部にはプロツールとしてのさらなる洗練が見て取れます。
究極の機能美「5.1mm」の衝撃
13インチモデルにおいてわずか5.1mmという厚さは、実際に目にすると数字以上のインパクトがあります。これはiPhone 16 Proよりも遥かに薄く、Apple製品の歴史の中でも最も薄いデバイスの一つです。 この薄さを実現するために、内部基板の再設計が行われており、最新のM5チップを搭載しながらも、熱を効率よく筐体全体へ逃がす構造がデザインの中に組み込まれています。
新色スペースブラックの深化と質感
カラーバリエーションは「シルバー」と「スペースブラック」の2色ですが、特筆すべきはスペースブラックの質感です。 前モデルよりもさらに深い黒を追求した「漆黒」に近い仕上げになっており、アルマイト加工の密度が向上しています。これにより、プロユーザーを悩ませてきた指紋の付着がさらに軽減され、数時間の作業後でも高級感を損なわない工夫が施されています。光の当たり方によって表情を変えるマットな質感は、所有欲を強く満たしてくれます。
驚異的な剛性と重量バランス
「これだけ薄いと曲がってしまうのでは?」という不安を抱く方もいるかもしれませんが、心配は無用です。 筐体には100%再生アルミニウムを使用しつつ、内部に強化された支柱構造を採用することで、先代よりもねじれに対する剛性が向上しています。また、重量バランスが非常に緻密に計算されており、Magic Keyboardに装着した際の安定感や、手持ちで読書をする際の「重さの偏り」を感じさせない設計は、まさにAppleのデザインマジックと言えます。
ベゼルの極限化とランドスケープ・カメラ
ディスプレイを囲むベゼルはさらに数ミリ単位で削ぎ落とされ、没入感が一段と高まりました。 そして、プロユーザーのワークフローを考慮し、FaceTimeカメラ(インカメラ)は完全に「横向き(ランドスケープ)」の中央に配置されています。これにより、ビデオ会議やオンライン授業中に視線が不自然に外れることがなく、Magic Keyboard装着時の使い勝手が最適化されています。
ディスプレイ保護とナノテクスチャの選択
1TB以上のモデルで選択可能な「Nano-textureガラス」は、微細なエッチング加工により、コントラストを維持しながら光の反射を劇的に抑えます。M5モデルではこの加工技術もアップデートされ、よりクリーニングしやすく、耐久性が向上しました。プロのイラストレーターや、屋外での写真編集をメインとするユーザーにとって、このデザイン上の選択肢は唯一無二の価値を持っています。
iPad Pro (M5) のスペック詳細

出典:Apple
iPad Pro (M5) のスペックは、もはやタブレットという言葉では収まりきらない、モバイルワークステーションの領域に達しています。特に内部アーキテクチャの進化は、前モデルを大きく凌駕するものです。
M5チップ:AIとグラフィックスの飛躍
第3世代3ナノメートルテクノロジーで設計された「M5チップ」は、単なる処理速度の向上に留まりません。
- CPU/GPU構成: 256GB/512GBモデルは9コアCPU、1TB/2TBモデルは10コアCPUを搭載。GPUはいずれも10コアですが、各コアに新設計の「Neural Accelerator」を内蔵し、レイトレーシング性能がM4比で最大1.5倍に強化されています。
- AI性能: 新しい16コアNeural Engineにより、AI処理性能はM4比で最大3.5倍、M1比では約6倍に達します。
- メモリ帯域幅: メモリ(RAM)の帯域幅が、M4の117GB/sから153GB/sへと約30%拡張。大容量データの読み込みやマルチタスク時の「詰まり」が解消されました。
ディスプレイ:究極の視覚体験
「Ultra Retina XDR」ディスプレイは、タンデムOLED(2層重ねの有機EL)により、かつてない明るさとコントラストを実現しています。
- 輝度: フルスクリーンで1,000ニト、HDRピーク輝度は1,600ニト。さらに最小輝度が「1ニト」まで下がるようになり、暗い場所での視認性が向上しました。
- 外部出力: プロ待望のアップデートとして、最大4K/120Hzまたは6K/60Hzの外部ディスプレイ出力をサポート。さらに「Adaptive Sync」に対応し、外部モニターでもなめらかな映像体験が可能です。
通信と接続性:次世代規格を完全網羅
Apple自社設計の「N1ワイヤレスチップ」の搭載により、通信周りが劇的に進化しました。
- Wi-Fi 7: 最大通信速度が飛躍的に向上し、混雑したネットワーク下でも安定した超高速通信が可能です。
- Bluetooth 6.0: レイテンシー(遅延)が極限まで抑えられ、対応デバイスとの接続安定性が増しています。
- 5G (Cellularモデル): 新型モデム「C1X」により、通信速度が50%向上しつつ、消費電力が30%削減されました。
基本仕様一覧表
| 項目 | 11インチモデル | 13インチモデル |
| ディスプレイ解像度 | 2,420 x 1,668 (264ppi) | 2,752 x 2,064 (264ppi) |
| メモリ (RAM) | 12GB (256/512GB) / 16GB (1/2TB) | 12GB (256/512GB) / 16GB (1/2TB) |
| ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB / 2TB | 256GB / 512GB / 1TB / 2TB |
| 生体認証 | Face ID | Face ID |
| ポート | Thunderbolt / USB 4 (USB-C) | Thunderbolt / USB 4 (USB-C) |
| スピーカー / マイク | 4スピーカー / 4マイク | 4スピーカー / 4マイク |
iPad Pro (M5) とM4モデルとの比較

出典:Apple
一言で言えば、M4モデルは「ディスプレイと薄さの革命」でしたが、M5モデルは「基盤と通信の完全自社設計化による最適化」の世代です。
| 比較項目 | iPad Pro (M4) | iPad Pro (M5) | 進化のポイント |
| チップ | M4 (第2世代3nm) | M5 (第3世代3nm) | 処理効率とAI演算が大幅向上 |
| AI処理性能 | 38 TOPS | 約130 TOPS | AIタスクが約3.5倍高速化 |
| 最小メモリ(RAM) | 8GB | 12GB | 標準モデルのマルチタスク耐性が向上 |
| メモリ帯域幅 | 120GB/s | 153GB/s | データの通り道が約30%拡大 |
| ストレージ速度 | 標準的 | 最大2倍高速 | 大容量動画の読み込みが爆速に |
| Wi-Fi / BT | Wi-Fi 6E / BT 5.3 | Wi-Fi 7 / BT 6.0 | 次世代通信規格へ完全対応 |
| 外部出力 | 最大6K/60Hz | 最大4K/120Hz | 外部モニターでのヌルヌル操作が解禁 |
| 充電速度 | 20W〜30W推奨 | 高速充電対応 | 30分で50%までの急速充電が可能 |
| ワイヤレスチップ | Broadcom製 | Apple自社設計 (N1) | 接続の安定性と省電力性が向上 |
「8GBの壁」を突破した12GBメモリ
M4モデルまでの最大の懸念点は、256GB/512GBモデルのメモリが8GBだったことです。プロ向けアプリを複数立ち上げると、バックグラウンドのアプリが落ちる現象(リロード)が発生していましたが、M5では標準で12GBに底上げされました。これにより、iPadOSのステージマネージャでの作業が劇的に安定しています。
クリエイター待望の「外部出力120Hz」
これまで、iPad Pro本体は120Hz(ProMotion)で滑らかなのに、外部モニターに繋ぐと60Hzにガクンと落ちるという「チグハグさ」がありました。M5チップの新しいディスプレイエンジンは、外部モニターへの4K/120Hz出力を正式にサポート。動画編集やコーディングを外部モニターで行う際、本体と同じ操作感で作業できるようになりました。
通信周りの「沈黙の進化」
表に出にくいですが、Wi-Fi/BluetoothチップがBroadcom製からApple自社設計の「N1チップ」へ、5GモデムがQualcomm製から自社設計「C1X」へと変更されました。これにより、スリープ復帰時のWi-Fi接続の速さや、移動中のテザリングの安定性が格段に向上しています。「どこでも繋がる道具」としての信頼感は、M5モデルの方が一枚上手です。
ストレージ性能の倍増
意外と知られていないのが、SSDの読み書き速度の向上です。M5モデルでは内部のコントローラーが刷新され、M4比で最大2倍の転送速度を実現しています。10GBを超えるような動画素材を外付けSSDからコピーしたり、Final Cut Proでプロジェクトを開いたりする際の待ち時間が、はっきりと体感できるレベルで短縮されています。
iPad Pro (M5) を使用した私の体験談・レビュー

出典:Apple
「タブレットは結局、コンテンツ消費用だよね」という言葉は、このM5モデルの前ではもはや過去のものです。1ヶ月間、MacBook Proをあえてカバンに入れず、この一台で全てのワークフローを完結させてみました。
「待ち時間」という概念が消えたAI体験
今回、最も驚かされたのはApple Intelligenceのレスポンス速度です。
例えば、写真編集アプリで複雑な背景の人物を切り抜く、あるいは動画編集アプリ「DaVinci Resolve」で動く被写体にマスクをかける(トラッキング)といった作業。M4でも十分速かったのですが、M5では「ボタンを押した瞬間に終わっている」という感覚です。
AIによるテキストの要約や校正も、通信を介さずデバイス内で完結するため、機密性の高い仕事の資料でも安心して、かつ爆速で処理できました。この「思考を止めないスピード」こそが、M5チップの真価だと痛感しました。
外部モニター接続で「メインPC」に昇格
以前のモデルでは、外部モニターに繋いでも60Hz制限のせいで、マウスの動きがわずかにカクつくのが不満でした。しかし、M5で解禁された4K/120Hz出力は、まさにゲームチェンジャーです。
120Hz対応の32インチモニターに接続した際、ウィンドウの移動やスクロールが本体液晶と全く同じ滑らかさで動きます。ステージマネージャを使ってブラウザ、Slack、Word、画像編集ソフトを並べて作業していても、メモリ12GBのおかげでアプリが落ちる気配は一切ありません。「iPadで仕事をする」という妥協が、完全に消え去りました。
クリエイティブワークでの「熱」の少なさ
5.1mmという薄さゆえに熱暴走を心配していましたが、M5チップの電力効率は驚異的です。
4K動画の書き出し(10分程度のプロジェクト)を数回連続で行っても、筐体裏側が「少し温かい」と感じる程度。M4の時はもう少し熱を持っていた印象ですが、M5は重いタスクをこなしている最中でも涼しい顔をしています。この安定感は、長時間の作業を行うプロには欠かせない要素です。
私のある日のiPad Pro (M5) ワークフロー
実際に一日のスケジュールでどのように活躍したかをまとめました。
| 時間帯 | 作業内容 | M5モデルで感じた恩恵 |
| 09:00 | カフェでメール返信・執筆 | Wi-Fi 7でテザリングも爆速、即座に仕事開始。 |
| 11:00 | ビデオ会議 (Google Meet) | センターフレーム機能でカメラ目線が自然に。 |
| 14:00 | 4K動画編集・カラーグレーディング | プレビューが一切コマ落ちせず、120Hzで滑らか。 |
| 16:00 | 外部モニターに接続し資料作成 | 120Hz出力により、大画面でも目が疲れにくい。 |
| 20:00 | 自宅で映画鑑賞 (HDR) | タンデムOLEDの漆黒が、M5の制御でより鮮明に。 |
唯一の「不満」と「慣れ」
あえて欠点を挙げるなら、性能をフルに引き出そうとするとバッテリーの減りはそれなりに早い点です。特にWi-Fi 7で大容量通信を続けながら高輝度で作業すると、公称の10時間は持ちません。
しかし、新しく対応した急速充電のおかげで、昼休憩の30分で一気に回復できるため、運用で十分にカバー可能でした。
iPad Pro (M5) に関するQ&A

Q. M4モデルから買い替える価値はありますか?
・AIを多用するクリエイティブ作業や、外部ディスプレイを多用する方には価値があります。ブラウジングや動画視聴メインならM4のままでも十分です。
Q. Apple Pencilはどのモデルが使えますか?
・Apple Pencil ProとApple Pencil (USB-C) に対応しています。
Q. 前モデルのMagic Keyboardは使えますか?
・M4 iPad Pro用に発売されたMagic Keyboardがそのまま利用可能です。
Q. Wi-Fi 7の恩恵を受けるにはルーターの買い替えが必要ですか?
・Wi-Fi 7対応のルーターが必要ですが、下位互換性があるため従来のルーターでも通信自体は可能です。
Q. バッテリー持ちは改善されましたか?
・公称値は10時間と変わりませんが、M5チップの効率化により、軽い作業時の電池の減りは少し緩やかになった印象です。
Q. eSIMのみとのことですが、物理SIMは本当に使えませんか?
・M4モデル以降、iPad ProはeSIM専用となっています。
Q. 11インチと13インチ、どちらがおすすめですか?
・持ち運び重視なら11インチ、マルチタスクやイラスト作成がメインなら13インチ一択です。
Q. ナノテクスチャガラス(Nano-texture)は選ぶべき?
・屋外や明るい照明下で作業することが多いなら推奨しますが、1TB以上のモデル限定のオプションです。
Q. 12GBのRAMはオーバースペックでは?
・現状のiPadOSでは余裕がありますが、今後の高度なAI機能(Apple Intelligence)を快適に動かすためには「必須」になると予想されます。
Q. ゲーム性能はどうですか?
・レイトレーシング性能がさらに向上しており、AAAタイトルも家庭用ゲーム機並みのグラフィックで動作します。
Q. 外部ディスプレイ接続時に4K/120Hzを出すための条件は?
・DisplayPort 1.4以降に対応したUSB-Cケーブルと、120Hz対応のモニターが必要です。
iPad Pro (M5) が向いている人・向いていない人

出典:Apple
iPad Pro (M5) は、これまでのiPadの中で最も「人を選ぶ」モデルかもしれません。その圧倒的なパワーを使いこなせるか、あるいは宝の持ち腐れになるか。以下のチェックリストを参考にしてください。
iがPad Pro (M5) 向いている人
- 生成AIやオンデバイスAIをクリエイティブに組み込みたい人「Draw Things」などのアプリでローカル画像生成を行ったり、iPadOS 26以降の高度なApple Intelligence機能をストレスなく動かしたい方にとって、M5の130TOPSというAI性能と12GB以上のメモリは必須の装備です。
- iPadを「完全なメインPC」として運用したい人外部ディスプレイへの4K/120Hz出力対応により、大画面モニターと組み合わせてデスクトップ級の環境を作りたい方。60Hzのわずかなラグが許せなかったプロユーザーにとって、M5は待望の解決策です。
- 高ビットレートの動画編集・3D制作を行う人ストレージの読み書き速度が最大2倍になった恩恵は、巨大なProResデータを扱う際に顕著に現れます。プレビューのサクサク感や、書き出し時間の短縮を「時間への投資」と捉えられるプロに最適です。
- 最新の通信環境(Wi-Fi 7)を重視するノマドワーカーWi-Fi 7対応ルーターがある環境なら、ワイヤレスとは思えない速度でデータの同期が可能です。また、Apple自社設計のN1チップによる接続の安定性は、外出先でのテザリングや不安定な公共Wi-Fi下での作業効率を底上げします。
- 「急速充電」でダウンタイムを最小限にしたい人30分で50%まで回復できる機能は、電源を確保しづらい場所での作業が多い方にとって、モバイルバッテリーを持ち歩く負担を軽減してくれます。
iPad Pro (M5) が向いていない人
- 動画視聴やブラウジング、SNSがメインの人正直なところ、これらの用途においてM4モデルや、あるいはiPad Air (M2) との体感差を見出すのは困難です。M5のパワーは「何かを作る」際に初めて発揮されます。
- コスパ(費用対効果)を最優先する人外観デザインがM4と共通であるため、「最新モデルを持っている」という視覚的な満足感は薄いです。性能差に価格差分の価値を感じられない場合は、値下がりしたM4モデルの整備済品などを選ぶ方が賢明です。
- iPadでのカメラ撮影を重視している人カメラ性能はM4から据え置きです。スキャンなどのビジネス用途には十分ですが、iPhone 17 Proのような最先端の撮影体験を期待すると肩透かしを食うかもしれません。
- 「iPadOSの壁」に限界を感じている人M5というMacBook Pro級のエンジンを積んでいても、OSはあくまでiPadOSです。「macOSがそのまま動いてほしい」というニーズには、依然としてMacBook Air/Proが最適解となります。
iPad Pro (M5) レビューまとめ

出典:Apple
iPad Pro (M5) を1ヶ月間使い倒して導き出した結論は、「iPadOSの呪縛を、ハードウェアの暴力的なまでの性能がようやく解き放った」ということです。
これまでのiPad Proは、チップの性能に対してOSや周辺環境が追いついていないと言われることが多々ありました。しかし、今回のM5モデルは違います。
「地味だが堅実な進化」がもたらす圧倒的な実用性
一見するとM4モデルからのマイナーチェンジに見えるかもしれませんが、以下の3点は今後のタブレット体験を根本から変える「地味な革命」です。
- 「AIファースト」な設計: M5チップの各コアに配置されたNeural Acceleratorは、今後数年にわたって展開されるApple Intelligenceの機能を「待たずに」実行するための強力な基盤です。12GB/16GBへと増量されたRAMは、もはや「贅沢品」ではなく、AI時代を生き抜くための「必須装備」となりました。
- プロのワークフローへの完全対応: 外部ディスプレイへの4K/120Hz出力、そしてWi-Fi 7による超高速通信。これらは、iPadを「サブ機」から「メイン機」へと昇格させるための最後のピースでした。
- ダウンタイムの最小化: 急速充電への対応は、多忙なクリエイターやビジネスパーソンにとって、バッテリー残量というストレスからの解放を意味します。
購入を迷っているあなたへ
iPad Pro (M5) は、決して安い買い物ではありません。しかし、もしあなたが「iPadで何かを生み出したい」「最新のAI技術を最前線で体験したい」と考えているなら、これ以上の選択肢は地球上に存在しません。
- M2以前のモデルをお使いの方: 迷う必要はありません。ディスプレイ(OLED)と処理性能の両面で、全く別次元の世界が待っています。今すぐ買い替える価値があります。
- M4モデルをお使いの方: 外部モニターでの120Hz出力や、AI処理のさらなる高速化を必要としない限り、もう1世代待っても良いかもしれません。しかし、一度M5の「レスポンスの速さ」を知ってしまうと、戻れなくなる中毒性があるのも事実です。
iPad Pro (M5) レビュー総評
iPad Pro (M5) は、単なるタブレットの枠を超え、次世代のコンピューティングを先取りした究極のツールへと進化を遂げました。Appleが自社設計チップと通信技術を完全に統合させたことで、これまで以上の安定感と爆発的な処理能力を両立させています。特に、膨大な計算を必要とするAIタスクを涼しい顔でこなすパフォーマンスや、クリエイターの悲願であった外部ディスプレイでの120Hz出力の実現は、このデバイスがもはやMacBookの代替品ではなく、独自の価値を持つプロフェッショナルなワークステーションであることを証明しています。
驚異的な薄さの中に秘められたM5チップの力は、日々の作業をより軽快にし、私たちの創造性を限界まで引き出してくれるでしょう。最高峰のディスプレイ、最新の通信規格、そして圧倒的なAI性能。これらすべてが高度に調和したこの一台は、今の最高を求めるユーザーにとって、これ以上ない唯一無二の選択肢となります。未来のクリエイティブを誰よりも早く、そして快適に体験したいのであれば、iPad Pro (M5) はその期待に確実に応えてくれる最高傑作といえます。
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