時計というデバイスは、今や単に時間を知るための道具ではありません。特に過酷な自然環境に身を置くトレイルランナーや登山家にとって、それは自分の命を預け、限界を超えるための戦略を共に練る「最高の相棒」と言えます。
今回、私がレビューするのは、SUUNTO VERTICAL 2 です。
「この新しい相棒は、一体どんな風に僕をサポートしてくれるのか?」 「AMOLED(有機EL)の美しさと、圧倒的なスタミナは実戦でどう機能するのか?」
ガジェットとしての進化はもちろん、一人のランナーとして「本当に信頼できるツールなのか」という視点で、その使用感を余すことなくお届けします。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 とは?

出典:SUUNTO
SUUNTO(スント)は、1936年にフィンランドで誕生して以来、コンパスやダイビングコンピューター、そしてマルチスポーツウォッチの分野で、常に「過酷な環境での信頼性」を追求してきたブランドです。その中でも、今回登場した「VERTICAL 2」は、同社のラインナップにおいて最高峰のスタミナとナビゲーション性能を誇るフラッグシップモデルに位置づけられます。
このモデルを一言で表現するなら、「タフなアドベンチャーウォッチと、最新のスマートテクノロジーの融合」です。
冒険者のための「VERTICAL」シリーズ
もともと「VERTICAL(垂直方向)」という名の通り、急峻な山岳地帯を登り、下り、長時間動き続ける活動に特化して設計されています。今作の「2」では、そのアイデンティティをさらに強化する以下の3つの柱が軸となっています。
- 「見える」の進化: これまでのアウトドアウォッチは、電池持ちを優先するために少し暗めの液晶(MIP)を採用するのが常識でした。しかし、VERTICAL 2は高精細なAMOLED(有機EL)を搭載。スマートウォッチのような鮮やかさを持ちながら、直射日光下の山頂でも地図をはっきりと読み取れる視認性を手に入れました。
- 「導く」の信頼性: 無料のオフラインマップ機能に加え、2つの周波数帯を使用するデュアルバンドGPSを搭載。深い谷底や高い木々に囲まれたトレイルでも、自分の位置を見失うことがありません。
- 「続く」の安心感: 高輝度ディスプレイを採用すると電池消費が激しくなるのが一般的ですが、SUUNTOは独自の省電力技術により、フルパワーのGPSモードでも最大65時間という驚異的な駆動時間を実現。これは、数日間にわたる重走や100マイルレースでも充電を気にせず戦えることを意味します。
2025年モデルとしてのアイデンティティ
2025年12月現在、多くのメーカーが多機能化を競っていますが、VERTICAL 2が目指しているのは「ただの多機能」ではありません。 「高速プロセッサー」によるストレスのない操作感、そして「LEDフラッシュライト」のような、実際にフィールドに出る人間だからこそ分かる「あると助かる機能」を具現化したものです。
単なる時計ではなく、過酷な自然に挑むすべての人が、自分の現在地と進むべき道を正確に把握するための「腕に巻く精密計器」。それが、このSUUNTO VERTICAL 2なのです。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 の外観とデザイン

出典:SUUNTO
SUUNTO VERTICAL 2 を手にした瞬間、まず感じるのはその圧倒的なビルドクオリティの高さです。フィンランドの自社工場で、100%再生可能エネルギーを使って製造されるこの時計には、北欧ブランドらしいミニマリズムと、道具としての機能美が凝縮されています。
究極の視認性:1.5インチ AMOLEDディスプレイ
今作の最大のハイライトは、なんといってもディスプレイです。
- 驚異の2000ニト: スマートフォン並み、あるいはそれ以上の輝度を誇ります。実際に広島の強い日差しの下で地図を確認しましたが、目を細めることなく、等高線の一本一本まで鮮明に読み取ることができました。
- サファイアクリスタルガラス: 傷に極めて強いサファイアガラスを採用。トレイルラン中に木の枝や岩に軽く擦ってしまいましたが、傷一つ付かない安心感があります。
堅牢なベゼルとボタンレイアウト
- グレード5チタンの質感: ベゼルには軽量かつ高強度なチタンを採用。重厚感のある見た目ながら、スポーツウォッチとしての軽快さも損なっていません。
- 伝統の3ボタンシステム: 昨今のトレンドである「ダイヤル(クラウン)操作」ではなく、あえて「ボタン式」を貫いています。これは、雨天時や泥にまみれた手、あるいは厚手のグローブをはめた状態でも、確実に「カチッ」と操作した感覚を得るため。また、激しい運動中に手首を曲げた際の誤操作を防ぐという、実戦主義の表れでもあります。
ユニークな新機能:内蔵LEDフラッシュライト
外観上の大きな特徴として、ケース側面に専用のLEDライトが搭載されました。 スマートウォッチによくある「画面を白く光らせる」タイプではなく、本物のLEDチップが内蔵されています。
ストレスフリーな専用ベルト
個人的に非常に高く評価したいのが、シリコンベルトの設計です。
- ピン留め構造: 他社メーカーのようにベルトループ(遊環)に通すのではなく、余ったベルトの端を穴にピンで差し込んで固定する独自の方式を採用しています。
- メリット: 走っている最中にベルトの端がループから抜けて「パタパタ」と動くストレスが一切ありません。肌当たりも良く、長時間の着用でも蒸れや擦れを感じにくい素材感が選ばれています。
存在感のあるサイズ感
ケース径は大型ですが、厚みはバッテリー容量とのバランスが計算されており、シャツの袖口に引っかかりにくい絶妙なラインを保っています。オレンジやグリーンのビビッドなカラーベルトを選べば、アウトドアファッションのアクセントとしても抜群の存在感を放ちます。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 のスペック詳細

出典:SUUNTO
SUUNTO VERTICAL 2は、単に「高画質になった」だけではありません。その内部システムやセンサー類は、過酷なフィールドでの信頼性を担保するために、極めて高い次元で設計されています。
【スペック一覧表】
| 項目 | 詳細仕様 | 備考 |
| ディスプレイ | 1.5インチ AMOLED(有機EL) | 最大輝度2000ニトで圧倒的な視認性 |
| 画面解像度 | 466 × 466 ピクセル | 精細な等高線や文字表示が可能 |
| レンズ素材 | サファイアクリスタル | 傷に対する究極の保護性能 |
| ベゼル素材 | グレード5 チタン | 高強度かつ軽量な航空宇宙グレード |
| 重量 | 88g | バッテリー容量とのトレードオフによる重厚感 |
| 防水性能 | 100m(10気圧防水) | 水泳、シュノーケリングにも対応 |
| GPS精度 | デュアルバンド(L1+L5)GNSS | 全ての主要衛星システム(5つ)に同時接続 |
| プロセッサー | 高速プロセッサー搭載 | 地図描画やメニュー遷移が極めてスムーズ |
| 内蔵メモリ | 32GB | 世界中のオフラインマップを保存可能 |
| 付加機能 | 専用LEDフラッシュライト | 本体側面に独立したLEDを配置 |
バッテリー駆動時間:妥協なき「スタミナ」
AMOLEDを搭載しながら、これだけの長時間駆動を実現している点は驚異的です。
- スマートウォッチモード: 約20日間
- GPSシングルバンドモード: 最大280時間
- GPSデュアルバンド(最高精度)モード: 最大65時間
この「65時間」という数字は、100マイル(160km)トレイルランニングにおいて、トップランナーから制限時間ギリギリの完走を目指す方まで、途中の充電なしでカバーできる安心のスペックです。
センサーの進化と分析機能
VERTICAL 2は、ハードウェアの進化に伴い、ソフトウェアによる分析能力も飛躍的に向上しています。
- 次世代光学式心拍計:背面のセンサーが刷新され、激しい腕の振りや発汗時でも、より正確に血管の動きを捉えることが可能になりました。
- 気圧高度計とウェザーアラート:急激な気圧の変化を感知して嵐の接近を知らせる機能など、登山中のリスク管理を強力にバックアップします。
- 高速なマップレンダリング:大容量の地図データを読み込む際も、新しいプロセッサーのおかげで、スクロールやズームがストレスなく「ヌルヌル」と動きます。
充電システム
専用のマグネット式充電器を使用します。入力端子は現代のスタンダードであるUSB Type-Cを採用しており、スマートフォンのアダプターやモバイルバッテリーから手軽に給電できます。レース前日に「うっかり充電を忘れた」という場合でも、短時間の急速充電である程度の駆動時間を確保できるのが強みです。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 とRACE 2・VERTICAL(初代)の比較

出典:SUUNTO
SUUNTO VERTICAL 2を検討する上で、多くのユーザーが迷うのが、同世代の軽量モデルである「RACE 2」、あるいは前作の「VERTICAL(初代)」との違いです。それぞれの特徴を整理し、なぜ今「VERTICAL 2」を選ぶべきなのかを解説します。
同世代モデル「RACE 2」との徹底比較
同時期に発売された「RACE 2」とは、基本性能を共有しながらも、その設計思想(コンセプト)が明確に異なります。
| 比較項目 | VERTICAL 2(本機) | RACE 2 |
| 操作インターフェース | 3つの物理ボタン | デジタルクラウン(ダイヤル) |
| バッテリー(GPS最高精度) | 最大65時間 | 最大55時間 |
| 重量 | 88g | 75g |
| 厚み | やや厚め(大容量バッテリー) | スリム設計 |
| 独自機能 | LEDフラッシュライト搭載 | なし |
- 操作性の違い: RACE 2はダイヤル操作により素早いメニュー移動が可能ですが、VERTICAL 2は「確実な押し込み」ができるボタン式。泥や雨、グローブ装着時の操作信頼性はVERTICAL 2に軍配が上がります。
- 用途の違い: 短距離のロードレースやスピード練習なら軽量なRACE 2が有利ですが、一晩を超えるロングレースや、数日間の縦走登山であれば、プラス10時間の余裕があるVERTICAL 2が圧倒的な安心感をもたらします。
前作「初代 VERTICAL」からの主な進化点
前作(液晶MIPモデル)から乗り換える価値があるのか、という点についても触れておきます。
- MIPからAMOLEDへの劇的進化:初代は太陽光下で見やすい反射型カラー液晶でしたが、今作は自発光する有機EL(AMOLED)に変わりました。解像度が飛躍的に向上したため、オフラインマップの細かい地名や等高線が、まるでスマートフォンの画面を見ているかのように鮮明です。
- プロセッサーの刷新による「爆速」操作:初代で時折感じられた地図のスクロール時の「引っかかり」が、新プロセッサーにより解消されました。ズームやスクロールが驚くほど滑らかです。
- 心拍センサーの精度向上:センサーのハードウェアそのものが最新世代にアップデートされており、特に高強度な運動時(トレイルの急登など)の追従性が向上しています。
比較から見える VERTICAL 2 の立ち位置
比較して見えてくるのは、VERTICAL 2が「絶対に妥協したくない人のための全部入りモデル」であるということです。
RACE 2の「軽さ」や「価格」は魅力的ですが、「圧倒的なバッテリー寿命」「LEDライトという実戦的装備」「ボタンによる確実な操作」という3点は、過酷なフィールドであればあるほど、価格差以上の価値を発揮します。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 を使用した私の体験談・レビュー

出典:SUUNTO
準備と第一印象:RACE 2との比較
「RACE 2」と「VERTICAL 2」をじっくりと比較しました。 まず手にして感じたのは、その絶妙な重量感です。計測してみると、RACE 2が75gなのに対し、VERTICAL 2は88g。この13gの差には、より大きなバッテリーと堅牢なケース、そして新機能のLEDライトが詰まっています。
操作面でも大きな違いがあります。RACE 2がダイヤル(クラウン)式なのに対し、VERTICAL 2は伝統的なボタン式。最初は「ダイヤルの方が楽かな?」と思いましたが、実際に揺れる車内や活動中に操作してみると、ボタンの「カチッ」という確実な押し込み感は、ミスが許されない過酷なシーンでの信頼性に直結すると感じました。
漆黒の闇で威力を発揮した「LEDフラッシュライト」
驚くほど役に立ったのが、本体側面に搭載されたLEDフラッシュライトです。 スマートウォッチによくある「画面を白く光らす」だけのものとは光量が全く違います。ヘッドライトを出すほどではないけれど、足元の荷物を探したい時や、真っ暗な会場での受付、装備の最終確認などに、腕を向けるだけで十分な視界が確保できる。この「ちょっとした光」があるだけで、暗闇でのストレスが驚くほど解消されました。
実戦でのナビゲーション:AMOLEDの真価
山岳地帯に入り、実際にコースを走り出してまず感動したのは、1.5インチのAMOLEDディスプレイの美しさです。 2000ニトの輝度は伊達ではありません。木漏れ日が激しく明暗を作るトレイルでも、画面を覗き込む必要がなく、チラッと目をやるだけで現在地と地図が鮮明に読み取れます。
特に助けられたのが、事前に入力したGPXデータによるナビゲーションです。 「あと何メートル登ればピークなのか」「下りはどれくらい続くのか」がリアルタイムで可視化されます。精神的に追い込まれる急登で、「あと100mアップで終わりだ」と具体的に分かることが、どれほど心の支えになったか計り知れません。
驚異のスタミナと詳細なデータ分析
約5時間にわたる激しい活動を終えた後のデータを確認し、その性能に確信を持ちました。
- バッテリーの持ち: ほぼ100%の状態からスタートし、フィニッシュ時は84%。高精度なデュアルバンドGPSをフル稼働させても、この消費電力です。これなら100マイルレースでも充電の心配は一切不要でしょう。
- 進化した心拍センサー: 以前のモデルよりも反応が鋭くなっており、登りでの心拍の急上昇を正確に捉えていました。
- アプリ連携: 走り終えた後、すぐにスマホのSUUNTOアプリで軌跡やラップ、心拍ゾーンの推移を確認。1kmごとの詳細な分析が「ヌルヌル」動く地図上で再現されるのは、次へのモチベーションに繋がります。
リカバリーと日常使い:睡眠の質まで見抜く
- 睡眠モニタリング: 睡眠の質は78%と表示されました。深い睡眠と浅い睡眠の割合が正確に記録されており、自分の疲労度が数値として客観視できるのは非常に便利です。
- リソース確認: 起床時のリソースは99%まで回復していましたが、時計は「昨日の負荷が強すぎます。今日は休んでください」と警告。ウォーキング中も、時計のオフラインマップがあれば、スマホを出さずに居場所を確認できるため、旅先での散策も非常に快適でした。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 に関するQ&A

Q. ディスプレイは屋外で見えにくいことはありませんか?
・2000ニトの超高輝度AMOLEDなので、直射日光下でも非常にクリアに見えます。
Q. バッテリーは公称通り持ちますか?
・5時間の激しいトレイルランで使用して、消費はわずか15%程度でした。公称の65時間はかなり信頼できる数値です。
Q. 操作はタッチパネルですか?
・タッチ操作とボタン操作の両方に対応しています。
Q. 地図はオフラインでも使えますか?
・事前にWi-Fi経由でマップをダウンロードしておけば、電波のない山中でも詳細な地図が確認できます。
Q. RACE 2と迷っていますが、決め手は何ですか?
・バッテリー寿命の長さと、LEDライトが必要かどうか、そしてボタン操作を好むかどうかがポイントです。
Q. 重量は気になりますか?
・88gあるため、軽量モデルに慣れている方は最初重さを感じるかもしれませんが、装着感が良いため走っている最中に揺れるようなことはありません。
Q. 心拍計の精度はどうですか?
・センサーが進化しており、従来のモデルよりも急激な心拍の変化への追従性が向上しています。
Q. 充電コネクタの形状は?
・背面にマグネットで装着するタイプで、端子はUSB Type-Cに対応しています。
Q. 血中酸素濃度は測れますか?
・ボタン一つですぐに測定可能です。
Q. 睡眠計測は正確ですか?
・深い睡眠、浅い睡眠、レム睡眠を細かく分析してくれます。枕が変わった時の質の低下もしっかり検知していました。
Q. どんなスポーツに対応していますか?
・ランニング、登山、サイクリング、スイミングなど95種類以上のスポーツモードを搭載しています。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 が向いている人・向いていない人

出典:SUUNTO
SUUNTO VERTICAL 2は、非常に高性能な「全部入り」モデルですが、その分「重さ」や「サイズ感」「価格」といった尖った特性も持っています。あなたのスタイルに本当に合っているのか、具体例を挙げて解説します。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 向いている人
- 100kmや100マイルのウルトラトレイルに挑むランナー 最高精度モードで65時間というスタミナは、国内最高峰のレース(UTMFなど)でも「途中で充電器に繋ぐ」という不安から完全に解放してくれます。ゴールまで一貫して高精度なログを取りたい方には唯一無二の選択肢です。
- 数日間にわたるテント泊や縦走を楽しむ登山家 内蔵のオフラインマップとLEDライト、そしてタフなバッテリーは、ライフラインの一部として機能します。特に山小屋やテント内での手元の確認にLEDライトは革命的に便利です。
- グローブ着用が必須の環境で活動する人 冬山登山や雨天時のレースなど、画面が濡れたり厚手のグローブをはめていたりする場合、タッチパネルや繊細なダイヤル操作よりも、サイドの「物理ボタン」が最も信頼できます。確実なクリック感を重視する硬派なユーザーに最適です。
- 地図の「読みやすさ」を最優先する人 1.5インチの大型AMOLEDは、老眼が気になる方や、走りながら瞬時に分岐を確認したい方にとって、MIP液晶(旧来の液晶)とは比較にならない視認性を提供します。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 向いていない人
- 1gでも軽くしてスピードを追求したいロードランナー 88gという重量は、5kmや10kmのタイムトライアルではわずかに重さを感じる可能性があります。ロードのフルマラソンがメインなら、より軽量な「RACE 2」や「9 Peak Pro」の方が軽快に腕を振れるでしょう。
- ダイヤル(クラウン)による直感操作を好む人 Apple WatchやSUUNTO RACEのような、ダイヤルを回してスルスルとメニューを送る操作感に慣れている人には、ボタン式は少し「手間」に感じるかもしれません。
- 手が小さく、厚みのある時計が苦手な人 バッテリー容量を確保している分、ケースには相応の厚みがあります。細身の腕の方や、スーツの袖口にスッキリ収めたい日常使いメインの方には、少々ゴツすぎると感じる場合があります。
- 「とりあえずコスパ」を求める初心者 約9万3,000円という価格は、初心者が最初に手にするには高価です。もしLEDライトや超ロングバッテリーが不要であれば、基本性能が近いRACE 2の方がコストパフォーマンスは高く感じられるはずです。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 レビューまとめ

出典:SUUNTO
SUUNTO VERTICAL 2 を実戦を通して使い倒した結論は、「これ以上、山で信頼できるデバイスは他にない」という確固たるものでした。
これまでのアウトドアウォッチは、「視認性の美しさ(有機EL)」をとるか、「圧倒的なスタミナ」をとるかの二択を迫られるのが常でした。しかし、このVERTICAL 2はその境界線を軽々と越え、最高精度のGPSモードで65時間、かつスマートフォンのような鮮明な地図表示という、かつての理想を現実のものにしています。
今回のレビューで分かった3つの「真実」
- 「光」が冒険の質を変える 内蔵されたLEDフラッシュライトは、単なるおまけ機能ではありません。深夜の準備、早朝のスタート、あるいは緊急時。腕元から発せられる物理的な光は、過酷なフィールドに挑む者に計り知れない安心感を与えてくれます。
- AMOLEDとスタミナの完全なる両立 最大2000ニトの明るさを持ちながら、5時間のハードなレースを終えてもバッテリー消費はわずか16%程度。充電の不安から解放されることで、ランナーは自分のペースと路面状況に100%集中することができます。
- 「道具」としての信頼性 グローブ越しでも確実に反応する3ボタン、そして外れる心配のないストラップ構造。北欧フィンランドで培われた「実戦主義」のデザインは、激しい揺れや悪天候の中でも揺らぐことはありません。
SUUNTO (スント) VERTICAL 2 レビュー総評
SUUNTO VERTICAL 2 は、単なるスペックの向上に留まらない、アウトドア・スポーツウォッチの新たなスタンダードを確立した一台です。これまで多くの冒険者が抱えていた「画面の美しさを取れば、スタミナを犠牲にしなければならない」という長年のジレンマを、このモデルは見事に打ち破りました。広島の険しい山々を駆け抜け、あるいは静寂な夜の街を歩く中で私が強く感じたのは、この時計が単なる計測機器ではなく、常に一歩先を照らし出してくれる真のパートナーであるということです。
暗闇を切り裂くLEDライトや、どんな環境下でも確実なレスポンスを返す物理ボタン、そして限界を超えて動き続けるための驚異的なバッテリー寿命。これらすべては、厳しい自然環境を知り尽くしたSUUNTOだからこそ到達できた「実戦主義」の結晶と言えるでしょう。決して安価な選択ではありませんが、手にした瞬間に感じる重厚な質感と、実戦で得られる計り知れない安心感は、価格以上の価値をあなたの冒険にもたらしてくれます。次に挑むレースや登頂、あるいは旅の始まりに、この最高の相棒を腕に巻いてみてください。その時、あなたの視界はこれまで以上に鮮明になり、進むべき道への確信に満ちあふれるはずです。
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